中心部サンマルコ広場の通常時(上)と満潮時の浸水(下) |
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このベネチアの最も深刻な問題は高潮と地盤沈下です。水浸しになったベネチアの様子をTVで見た方も多いと思いますが、満潮時の20〜30cmの浸水はよくあることで、中心地サンマルコ広場では仮設足場設置も手馴れたものです。11月から3月頃に吹くアフリカの季節風「シロッコ」が発生すると、アドリア海を押し上げ、ベネチア湾では1m以上もの高潮が発生します。この時期以外でも異常気象で季節風が発生することもあります。約100年前は、110cm以上の高潮発生が10年間で10回以下でしたが、近年の10年間ではなんと50回以上も。まさに地球温暖化の影響をまともに受けているのがわかります。現在では街の水没を防ぐため、アドリア海の3ヶ所に79基の可動式水門を設置する計画の一部が実行されていますが、環境問題や景観を配慮した反対意見も強く、完全に二分状態です。
また、地盤はこの100年で13cm沈下し、海面は10cm上昇しました。湿地帯のラグーナに木を打ちつけて建物の土台を作った工法なので、土台そのものが弱いのですが、地下水の汲み上げや地球温暖化による海面の上昇が、さらに事態を悪化させているのです。 |