森田 良

不動産価格は上がる、金利も上がる。映画『マネー・ショート』を観ながら考えたこと

先日、久しぶりに映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を観ました。

ご存じの方もいると思いますが、2008年のリーマン・ショックにつながったアメリカの住宅バブル(サブプライムローン)を題材にした映画です。

簡単に言えば、

「みんなが『住宅価格は上がり続ける』と思っていたときに、
『いや、これ……ちょっとおかしくない?』と考えた人たちの実話をもとにした話。」

……という、なかなかクセの強い金融映画です。

映画の中では、住宅ローンを証券化した商品が次々と売られ、「住宅価格は下がらない」という空気が市場を覆っていました。

ところが、一部の投資家は住宅ローンの中身を調べて、

「これ、本当に大丈夫なの?」

と気づいてしまう。

そして、その「大丈夫じゃない」に賭けた人たちが、結果的に大きな利益を得ることになります。

ただ、ここで誤解してはいけないのは、今の日本の住宅市場が2008年のアメリカと同じだ、という話ではありません。

むしろ私がこの映画を観ていて気になったのは、

「みんなが同じ方向を向いているときほど、一度立ち止まって考えることが大切だな」

ということでした。

さて、現在の日本はというと……

最近の不動産市場は、なかなか忙しいことになっています。

不動産価格は上昇。

建築費も上昇。

物価も上昇。

そして、住宅ローン金利まで上昇。

「家、高くなりましたね」

という会話は、もはや不動産屋の日常会話です。

さらに困ったことに、

「高くなったから買いにくい」

と思っている間にも、物価は上がっていく。

一方で、

「金利が上がる前に買ったほうがいいのか?」

という悩みも出てくる。

なんとも悩ましい時代です。

「価格」と「金利」は別々の話ではない

ここが今の住宅購入を考えるうえで、ちょっと面白いところです。

不動産価格が上がる。

↓
住宅ローンの借入額が増える。

↓
そこに金利上昇が加わる。

↓
毎月の返済負担も大きくなる。

……という具合です。

ただ、金利が上がるということは、単純に「悪いこと」だけでもありません。

物価が上がり、賃金が上がり、経済全体の金利水準も変わっていく。

そういう環境の中では、昔の「価格が安かった時代」と今を単純に比べることもできません。

だからこそ「怖いから買わない」でも「急いで買う」でもありません。

『マネー・ショート』の面白さは、

「みんながそう言っているから、本当にそうなのか?」

と疑ってみるところにあります。

これは住宅購入でも、案外同じなのかもしれません。

「金利が上がるから今すぐ買わなきゃ!」

でもなく、

「不動産価格が高いから、もう買えない!」

でもなく、

自分の収入、自己資金、借入額、金利、購入する物件の価値。

こうしたものを一つずつ冷静に見ていく。

不動産価格も金利も、自分ではコントロールできません。

でも、

「いくら借りるのか」
「どんな物件を買うのか」
「毎月いくらなら無理なく払えるのか」

は、自分で考えることができます。

映画の登場人物たちも、世の中の「常識」をそのまま信じるのではなく、自分で数字を調べました。

そして最後は自己責任のもと勝負をかけます。

住宅購入も、結局はそこなのだと思います。

映画を観ながら、ふと思いました。

不動産価格が上がる。

金利も上がる。

物価も上がる。

なんだか最近、全部上がっています。

でも、そんな時代だからこそ、

「今は買うべきなのか?」ではなく、
「自分にとって、この家を買うことはどういう意味があるのか?」

を考えてみる。

不動産の仕事をしている私としては、そんな視点も大切なのではないかと思っています。

ちなみに『マネー・ショート』、原作は「マネー・ボール」でおなじみのマイケル・ルイス。

金融の話なので少し難しいところもありますが、出演者が豪華で、みんなクセ強よのため引き込まれてしまいます。

なかなか面白い映画です。

まだ観ていない方は、住宅ローンの計算をする前に、一度映画を観てみるのも……。

いや、やっぱり先に資金計画をしましょう(笑)

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